式の計算・式の見方-計算の工夫-
計算にもやり方があります
一見ややこしそうな式も、よく見れば対称的になっているものや、同じ形式になっているものが良くあります。こう言うものも、ひたすら計算していけば、解けるのでしょうが、せっかく法則性のある式は、工夫をして計算していきたいものです。同じ形式の式があれば、引いてみるのも一つの方法ですし、等式であれば、kとおいてみるのも一方です。。
同形の式変形の例をあげておきます。
【例題1】
x+1/y=y+1/z=z+1/xでxyz≠0が成り立っているとします。ただし、x、y、zは相異なるものとします。このとき、この等式の値を 求めてください。
解答
各式を引き算すると、
x-y=(y-z)/yz・・・・・・・・①
y-z=(z-x)/zx・・・・・・②
z-x=(x-y)/xy・・・・・・③
①、②、③ を掛け算すると、
(y-z)(z-x)(x-y)=(y-z)(z-x)(x-y)/(x^2y^2^z^2)となります。これを、(y-z)(z-x)(x-y)≠0で割れば、x^2・y^2・^z^2=1となり、xyz=±1となります。・・・・・(答)
別解
等式の値をkとおいてオーソドックスに解く手も良く使います。やってみてください。
【例題2】
a、b、cを相異なる実数とし、x、y、zが、
\(x+ay+a^2z=a^3\)・・・・・・①
\(x+by+b^2z=b^3\)・・・・・②
\(x+cy+c^2z=c^3\)・・・・・・③
の解とするとき、\(a^3+b^3+c^3\) をx、y、zで表してください。
解答
各式の差をとると、①-②から、
\((a-b)y+(a^2-b^2)z=a^3-b^3\)
(a-b)(y+(a+b)z)=\((a-b)(a^2+ab+b^2)\) より、
a-b≠0から、y+(a+b)z=\(a^2+ab+b^2\)・・・・・④
同様にして、y+(b+c)z=\(b^2+bc+c^2\)・・・・・⑤
④-⑤を計算すると、
(a-c)z=(a-c)(a+b+c)a≠cより、
z=a+b+c・・・・・⑥
⑥を④に代入すると、y=-(ab+bc+ca) ・・・・・⑦
⑥、⑦を①に代入すると、x=abcとなります。
従って、\(a^3+b^3+c^3=z^3+3yz+3x\) となります。
もう少し工夫も出来るように思いますが、まずは、このような
式展開をマスターする事も重要です。解と係数の関係を使っても出来ます。
別解
①、②、③から、a、b、cは、\(t^3-zt^2-yt-x=0\)の相異なる解と見ることが出来ます。従って解と係数の関係から、
a+b+c=z
ab+bc+ca=-y
abc=x
\(a^3+b^3+c^3=a^3+b^3+c^3-3abc+3abc\)
=\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)+3abc\)
となりますから、これを上記の基本対称式で表せばいいことになります。これ以降の計算は容易ですから、やってみてください。
式計算に関する問題例
少し難しいかもしれませんが、式計算に関する問題をあげておきます。
【問題1】
a、b、cを相異なる整数とし、P(x)を整数係数の多項式とします。このとき、P(a)=b、P(b)=c、P(c)=a にはなりえない事を証明してください。
【問題2】
a、b、cは相異なる数とするとき、次の式を計算してください。
I=\(a^2\)/{(a-b)(b-c)(x-a)}+\(b^2\)/{(b-c)(b-a)(x-b)+
\(c^2\)/{(c-a)(c-b)(x-c)}