式の計算・式の見方-計算の工夫・解答編
式の計算の工夫の仕方
式の計算は、やればできるのでしょうが少し複雑なものや、計算のやり方が思いつかないものは、とてもやりにくいものです。ここでは、以前の記事で 難し目の問題をあげておきましたが、この問題の解答を書いておきます。
問題の解答
【問題1】
a、b、cを相異なる整数とし、P(x)を整数係数の多項式とします。このとき、P(a)=b、P(b)=c、P(c)=a にはなりえない事を証明してください。(アメリカ 数学コンテスト)
【解答1】
$$P(x)=a0x^n+a1x^n-1+・・・・・・+an ・・・・・・①$$ とします。ここで、a0、・・・・・、anは整数です。条件より、
P(a)-P(b)は、a-bで整除できます。また、商が整数を係数とするaとbの多項式となることがわかりますから、
P(a)-P(b)=(a-b)Q(a,b)・・・・・・・・② となります。同様にして
P(b)-P(c)=(b-c)Q(b,c)・・・・・・・・③
P(c)-P(a)=(c-a)Q(c,a)・・・・・・・・・④
②、③、④から、等式をかけて、条件式を用いると
(a-b)(b-c)(c-a)=(a-b)(b-c)(c-a)Q(a,b)Q(b,c)Q(c,a) となりますから、
(a-b)(b-c)(c-a)≠0で割ると、Q(a,b)Q(b,c)Q(c,a)=1となります。従ってこの3項は、2つが-1で1つが1か、3つとも1課のどちらかです。
2つが-1の場合は、Q(a,b)=-1とすれば、②から、b-c=(a-b)x(-1)となり、a=cとなり条件に反します。
また、すべて1の場合は、②、③、④から
(c+a)/2=b、(a+b)/2=c、(b+c)/2=a となりますから,a=b=cとなり、条件に反します。従って、題意は成り立ちます。
【問題2】
a、b、cは相異なる数とするとき、次の式を簡単にしてください。
\(I=a^2/{(a-b)(b-c)(x-a)}+b^2/{(b-c)(b-a)(x-b)}+
c^2/{(c-a)(c-b)(x-c)}\)
【解答2】
Iについて、f(x)=(x-a)(x-b)(x-c)I・・・・・・①とおきます。そうすると、
$$f(x)=\frac{a^2}{(x-a)(x-b)/(a-b)(a-c)}+\frac{b^2}{(x-c)(x-a)/(b-c)(b-a)}+\frac{c^2}{(x-a)(x-b)/(c-a)(c-b)}$$ となります。
$$f(a^2)=a^2,f(b^2)=b^2,f(c^2)=c^2$$ となりますから、g(x)=f(x)-x^2 とおくと、g(a)=g(b)=g(c)=0 となります。ここで、g(x)はxの2次式で、相異なる3つの値に対して、0になるから、g(x)は恒等的に0です。よって、f(x)=x^2となり、①より、
$$I=\frac{x^2}{(x-a)(x-b)(x-c)}$$ となります。・・・・・(答)
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