式と計算--解答編-
式と計算の応用
難しそうに見えますが、解法は背理法であろうと推定はつきます。概して、
難関大の入試問題で出題される背理法の問題は、難しいものや考えにくいものが多いのも現実です。これが解けるか解けないかが、ある意味難関大へ合格できるかどうかに影響を与えるものだとはいえます。講義リンクは次です。式と計算
問題の解答
【問題1】
\((n-1)a_1^2<2na_2\)ならば、実係数n次方程式
\(x^n+a_1x^(n-1)+・・・・・・・+a_n=0 (n=2,3,・・・・)\)・・・・・・①
は虚数解を持つことを証明してください。
【解答1】
「n次の代数方程式は、n個の解を持つ」と言う代数学の基本定理を使うことになりますが、これは証明なしで使ってもいいでしょう。難関大では、誘導つきでこれを証明させることも考えられますが、ここでは前提条件として使いましょう。
①の方程式のn個の解を\(α_1、α_2、・・・・・・・・、α_n\)とすると、
\(x^n+a_1x^(n-1)+・・・・+a_n=(x-α_1)(x-α_2)・・・・・(x-α_n)\)・・・・②
②の右辺から、
\(a_1=-(α_1+α_2+・・・・・・+α_n)\)
\(a_2=α_1α_2+α_1α_3+・・・・+α_1α_n+α_2α_3+・・・+\)
\(+α_2α_n+・・・・・・・・α_(n-1)α_n\)
となりますから、
\(α_1、α_2、・・・・・・・・、α_n\)がすべて、実数であるとすれば、
\((α_1-α_2)^2+(α_1-α_3)^2+・・・・・・・+(α_(n-1)-α_n)^2≧0\)・・・・・③
となります。これは、条件の
\((n-1)a_1^2<2na_2\)に反します。
よって、背理法から、
\(α_1、α_2、・・・・・・・・、α_n\)が全て実数である事はありえません。
従って、\(x^n+a_1x^(n-1)+・・・・・・・+a_n=0 (n=2,3,・・・・)\)は
虚数解を持つことがいえます。
注)②、③が思いつけるかが、この難問を解く鍵になります。