式と計算・方程式-解答編-

式と計算・方程式-解答

高校に入って、まずやるのは式と計算です。中学の復習と拡張ですが、高校数学をやるときの基本中の基本になります。しっかり練習をしましょう。
問題は、以下のリンクです。式と計算

式と計算・方程式の問題

【問題1】

\(a>b>c\)であって \((a+b+c)^2=a^3+b^3+c^3\) であるような自然数の組\((a,b,c)\)を全て求めてください。
(東京女子大)

【解答1】

\((b+c)^2≦b^3+c^3\)が容易に示せます。よって、\((a+b+c)^2≦a^2+2a(b+c)+b^3+c^3\)
従って、\((a+b+c)^2=a^3+b^3+c^3\) であれば、\(a^3≦a^2+2(b+c)\) となります。
ここで、\(b≦a-1,c≦a-2\)ですから、\(b+c≦2a-3\) よって、\(a^2≦a^2+2a(2a-3)\)から、
\(a(a-2)(a-3)≦0\) すなわち、\(2≦a≦3\)
\(a=2\) なら、\(c=0\)となり不適
\(a=3\) なら\(b=2,c=1\) 従って、\((a,b,c)=(3,2,1)\)

【問題2】

\(x\)の整式\(x^n\)を、\(x\)の整式\(x^2+x+1\)で割った余りを求めてください。
(東京医歯大学)

【解答2】

\(1,x,x^2\)を\(x^2+x+1\)で割ったあまりは、\(1,x,-x-1\)です。
また、\(x^{n+3}-x^n=(x-1)(x^2+x+1)x^n\)だから、\(x^2+x+1\)で割り切れます。
よって、\(x^n\)を\(x^2+x+1\)で割ったあまりは、\(x^{n+3}\)を\(x^2+x+1\)で割った余りに等しいことになります。
従って、\(n=3k\)のとき・・・・・・1,\(n=3k+1のとき、・・・・・・・x\)、\(n=3k+2のとき、・・・・・・・-x-1\) \(k=負でない整数\)

【問題3】

自然数\(n\)に対して、\(1/7・n^7+2/3・n^3+1/2・n^2-13/42・n\) は常に自然数であることを示してください。
(中央大法)

【解答3】

\(1/7・n^7+2/3・n^3+1/2・n^2-13/42・n=1/42・(6n^7+28n^3+21n^2-13n\)
\(6n^7+28n^3+21n^2-13n\)
=\(6n^7+7n^3-13n+21n^2(n+1)\)
=\(6n(n^6-1)+7n(n^2-1)+21n^2(n+1)\) となりますから、これが\(42\)の倍数であることを示せばよいことになります。
第二項、第三項が、\(42\)の倍数であることは明らかです。
第一項\(6n(n^6-1)\)が\(42\)の倍数、すなわち、\(n(n^6-1)\)が\(7\)の倍数であることを示せばよいことになります。
\(n(n^6-1)=n(n-1)(n+1)(n^2+n+1)(n^2-n+1)\)
ここで、\(n≡0 (mod7)\)なら自明です。\(n≡1 (mod7)\),n≡-1(mod7)\)ならば、それぞれ、\(n-1、n+1\)が\(7\)の倍数です。
\(n≡±2 (mod7)\)ならば、\(n^2±n+1≡0 (mod7)\)となり、\(7\)の倍数です。
\(n≡±3 (mod7)\)ならば、\(n^2±n+1≡0 (mod7)\) で\(7\)の倍数です。
従って、\(42\)の倍数がいえますので、題意は証明されました。

(注)要するに、\(n^7-n\)は\(7\)で割り切れるということですが、これは、フェルマーの小定理に他なりません。

【問題4】

\(x≧y≧z≧0\)を満たす任意の\(x,y,z\)に対して、常に\(ax+by+cz≧0\)となるための必要十分条件は、定数\(a,b,c\)に対する連立方程式
\(a≧0,a+b≧0,a+b+c≧0\)であることを証明してください。
(上智大学)

【解答4】

\(x=y+s,y=z+t\)とおくと、\(x=s+t+z\)
\(ax+by+cz=as+(a+b)t+(a+b+c)z≧0\)・・・・・①
\(x≧y≧z≧0\)の任意の値をとることは、\(s,t,z≧0\)の任意の値をとることと同値です。
よって、①で、\(s,t,z)=(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)\)で成り立つには、
\(a≧0,a+b≧0,a+b+c≧0\)であることが必要条件です。
また、これが成り立てば、①が成り立つことは明らかですから、十分です。
従って、題意は証明されました。

【問題5】

方程式 \(x^5-x-1=0\)は有理数の解をもたないことを証明してください。
(信州大学)

【解答5】

このような問題は背理法で証明するのが、定石です。

\(x^5-x-1=0\)・・・・・・・・①
が有理数解をもつとし、これを \(m/n\) \(m,nは互いに素)\)とします。
\((m/n)^5-m/n-1=0\)から、\(m^5/n=n^3(m+n)\)
①は、\x=0\)を解にもたないので、左辺は\(0\)でない整数でなければなりません。
よって、\(n=1\) そして、\(m^5=m+1\)・・・・・・・②
②で\(m\)を偶数としても奇数としても、両辺の奇遇は一致しません。
従って、これを満たす\(m\)は存在しません。
これは、矛盾であり、背理法により題意は証明されました。

 

 

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