幾何学について -平行線の公理は証明できるのか-
ユークリッド幾何学の公理
平面幾何学は、ギリシャのユークリッドが、2000年以上前に確立した幾何学体系でした。これは、ユークリッドの原論としてまとめられ、後世の科学書を書くときの参考にもされています。
ニュートンが、「自然哲学の数学的原理」を書くときにもユークリッドの原論を参考にしたと言われています。このユークリッドの幾何学の中に、設定した公理があって、その5番目の公理に平行線の公理があります。公理は、これを前提にして論理を構成するためのものだと考えます。平行線の公理は、互いに平行な2直線は、交わらない(交点をもたない)、と言うものです。幾何学を考える時に何らの疑問を持たないで認めているものです。
平行線の公理は証明できるのか
ユークリッドの原論がかかれて以来、平行線の公理を証明しようとする試みが多くの数学者や哲学者によってなされてきましたが、どうしても証明することができませんでした。19世紀になって、平行線の公理を否定したらどういう幾何学が構成できるのかが研究されてきました。これから、非ユークリッド幾何学が生まれることになります。
非ユークリッド幾何学について
ユークリッドの第5公準を否定したら、全く矛盾のない幾何学が構成できることが、ロばチェフスキー、ボヤイ、 リーマンらによって示されました。ガウスもかなり前に、非ユークリッド幾何学の存在を予見していましたが、発表はしていませんでした。ガウスはこう言う例が多々あったようです。
二つの非ユークリッド幾何学
非ユークリッド幾何学には、双曲線型と楕円型の2つのものが存在します。平行線が何本も引ける場合と、1本も引けない場合となります。
非ユークリッド幾何学の物理学への応用
非ユークリッド幾何学の1つである楕円型のリ-マン幾何学は、アインシュタインの相対性理論に応用されました。アインシュタインの時空は、リーマン幾何学上で構成されています。純粋数学も出来上がった当時には応用が考慮はされていない場合が多いですが、後になって応用例が考えられる場合が好くあります。
アインシュタインの一般相対性理論も現在使われているGPSシステムに応用されています。一般相対性理論で補正がないと、位置に数100mの誤差が出てしまうといわれています。