大学入試共通テストの変更
共通テストの延期について
文部科学省は、2020年の入試に導入予定だった、国語と数学の記述テストを延期することを2019/12/17に決定しました。英語の外部試験の活用の見送りに続くもので、センター試験改革は振り出しにもどりました。そもそもセンター試験改革とは何だったのか、今後どういう方向に進むのか、進めばいいのかを書いてみたいと思います。
日本の大学の入試の現状
日本の大学入試の問題は、センター試験が必須な国公立大学とセンター試験利用入試も実施している私立大学でかなり異なっています。今後センター試験が共通テストになっても大きくは変わらないと思われます。
国公立大学の入試
センター試験で5教科7科目の試験を受験する必要があります。(満点:950点)センター試験結果の成績は、2段階選抜として扱われており、センター試験の点数が、2次試験の点数に合算されます。但し、どの程度組み込まれるかは大学によって判断されます。例えば筑波大では、950点を900点に換算し、2次試験の成績とされますが、東京大学は、950点を900点に換算し、さらに110点満点とし2次試験の440点に加えられ、550点満点となります。一方、東京工大では、センター試験では600点以上とれば、1次合格で、2次試験のみで合否判定されています。2段階選抜は、各大学が定員に対する受験生の倍率を決め(3~5倍程度)センター試験の成績でいわゆる足切りがなされる場合がありますので要注意です。
2次試験は、国公立の場合は、数学はほぼ記述式です。国語は選択式の問題もありますが、記述式もかなり含まれています。理系では、英語、数学、理科2科目のところもありますが、東大、京大などの難関大は国語が課されています。
このように、国公立大学では、従来から、2次試験に記述式が取り入れられており今さらセンター試験や共通テストに記述式を導入する必然性はほとんどありません。
私立大学の入試
問題は、私立大学です。ほとんどの私立大学は、推薦入試、AO入試、センター利用入試、一般入試を行っています。早稲田大学や日本医科大学など1部の私立大学は数学の入試問題で記述式を採用していますが、ほとんどの大学はマーク式か穴埋め式の問題です。さらに私立理系は、英語、数学、理科の3科目ないし理科2科目の4科目入試が一般的です。私立大学の2次試験が記述式ではないことが、今回の記述式採用提案の発端になったのではないかと思います。記述式では、どういう答案を書くかを見れば、その生徒の論理性や記述力がわかるのは間違いありません。
今後の共通テストの見直しでは、私立大学の入試問題への記述式導入をきちんと議論すべきだと思います。
英語の外部試験導入について
今の日本の英語教育で世界に最も劣っているのは、コミュニケーション能力であるのは間違いありません。英検やGTECやTOEICやTOEFLなどの外部試験結果を取り入れることは望ましいと思いますが、一律に共通試験の代わりにしようと考えたのは、間違っていたのではないでしょうか。中学、高校で英検等の外部試験を奨励し、Reading,Listning,Writing,Speaking の4能力をあげることは望ましいことです。一部の私立大学が行っているように、外部試験をどのように使うかは2次試験をおこなう各大学で決めたらいいと思います。従って、英語も共通一次は、いままでのセンター形式でやらざるを得ないでしょう。(受験生が、50万人いるので、speakingを取り入れることは、実施上不可能と思われます。)
共通テストにより、2021年以降、生徒の英語コミュニケーション能力が大幅にアップするようになることを願っています。