大学での微積分学-解析学としての微積分-


微分積分学のより深い理解

高校で勉強する微積分学は、1変数の微積分ですし、実数の範囲に限られます。大学では、多変数の微分や積分を学びますし、複素数を変数とした複素変数関数論を学びます。多変数の微積分は、物理学への応用が多く考えられますし、殆どの物理法則は少数の偏微分方程式で表されることが多いといえます。また、積分も2変数、3変数の定積分を考えます。統計学で正規分布は一般的な統計分布ですが、これには\(∫e^{-x^2}・dx\)(積分区間は、-∞から+∞)を考えます。この積分は2変数の\(∫e^{-x^2-y^2}dxdy\)を考え、これを極座標(r,θ)変換すると、容易に求められます。結果は、\(\sqrt{π}\)となります。\(r^2=x^2+y^2\)で、(x,y)→(r、θ)への変数変換に伴うdxdy=rdrdθ(実際には、Jacobianと言う行列式を計算します。)で、θの範囲を考え、rを0→Rとして計算し、最後にR→∞の極限値をとればいい事になります。

偏微分の応用

物理学では、偏微分が多く利用されます。マックスウエルの方程式も そうですし、Schoredinger 方程式などもそうです。偏微分とは、例えば3変数x、y、zの関数f(x、y、z)があったときに、xを変数と見て他のy、zは定数と見るような微分法です。通常の微分は常微分といいます。常微分は、dxなどと書きます、遍微分は記号が異なります。

frac{partial f}{partial x} = f_x = partial_x f = u_x

マックスウエルの方程式は、以下のようにかかれます。

nablacdot boldsymbol{B}(t,boldsymbol{x}) = 0

nablatimes boldsymbol{E}(t,boldsymbol{x})  +frac{partialboldsymbol{B}(t,boldsymbol{x})}{partial t}  = mathbf{0}

nablacdot boldsymbol{D}(t,boldsymbol{x})  = rho(t,boldsymbol{x})

nablatimes boldsymbol{H}(t,boldsymbol{x})  -frac{partialboldsymbol{D}(t,boldsymbol{x})}{partial t}  = boldsymbol{j}(t,boldsymbol{x})

ここで

nabla = mathbf{hat{x}} {partial over partial x}  + mathbf{hat{y}} {partial over partial y} + mathbf{hat{z}} {partial over partial z}

を表しています。これをナブラと言い、3次元のベクトルです。ベクトルですから、内積等が考えることが出来ます。

複素変数関数論

大学では、微積分の数の範囲を実数から複素数に 拡張し線積分を考えます。ある領域D内で、正則な(つまり特異点のない)関数f(z)を考える時、D内のある区間での複素数での積分を考える事が出来ます。

∫c f(z)dz=0となります。一方区間cに特異点があるような関数なら、例えば、f(z)/(z-a) (z=a で特異点となります。)の場合は、Cauchy(仏)の積分定理があって、

∫c f(z)/(z-a)dz=2πi となります。iは虚数単位です。

この式は、関数論で極めて基本的、重要な公式ですから、頭の隅に覚えておいて損は無いと思います。複素積分では、Caucy-Riemannの定理という重要な関係式もあります。

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