二次試験展望-解答編-
国公立の二次試験
もうすぐ国公立大学の二次試験が始まります。万全の対策をとった方、少し不安が残る方も、最後までトレーニングをしていただきたいと思っています。問題の解答を示しておきます。もう二次試験まで時間がありませんが、ここにきて沢山の問題をやるよりは、これまで積み重ねてきたものを確実にする努力をした方がいいと思います。
【問題1】
4次方程式 \(x^4-x^2+1=0\) の解の一つを \(a\) とします。このとき以下のことを証明してください。
\)(1)\(a^6+1=0、a^{12}+1=0\)
(2)\(a^4≠1、a^9≠1\)
(3)一般に、\(r\) が \(1から11\) までの自然数のどれであっても、\(a^r≠1\) となります。
これを用いて、\(a^n=1 (nは自然数)\) ならば、\(nは12\) で割り切れることを証明してください。
(大阪市大)
【解答1】
(1)\(a^4-a^2+1=0\) だから \((a^2+1)( a^4-a^2+1)=0\)
\(a^{12}-1=(a^6+1)(a^6-1)=0\)
(2)\(a^4=1\) とすると、\(a^4-a^2+1=0 \) だから、\(a^2=2\) となり矛盾
また、\(a^9=1\) とすると \(a^6=-1\) から \(a^3=-1\) となり矛盾
(3)\(n≡r(mod12)\) とすると、\(a^n≡a^r (mod12)\)
ここで、与えられた命題から、\(1≦r≦11\) の整数 \(r\) に対して、\(a^r≠1\) だから、
\(a^n=1\) なら、\(n\) は、\(12\) で割り切れます。
【問題2】
\(a\) を実数の定数とします。
¥(x\) の関数 \(f(x)=tan(a/2)・sinx・cos(x+2a)+cos(a/2)・cosx・sin(x+a/2)\)
の最大値 \(M\) を \(a\) で表してください。また、\(M=1\) になるときの \(a\) の値を、\(0<a<2π\)
の範囲で求めてください。
(東北大)
【解答2】
関数 \(f(x)\) の定義より、\(sina≠0\)
積和公式等より
\(f(x)=1/sina・sin(x+a)+2cos^2a\)
よって、\(M=1/\vert a \vert+2cos^2a\)
また、 \(1/\vert a \vert ≧1、2cos^2a≧0\) だから、\(M≧1\)
従って、\(M=1\) になるのは \( \vert a \vert =1\) が必要であり、
このとき、十分。
よって、\(0<a<2π\) の範囲では、\(a=π/2、3/2π\)
【問題3】
(0から9)までの整数を書いたカードがそれぞれ \(4\) 枚、全部で \(40\) 枚あります。
これらのカードから、でたらめに \(5\) 枚とるとき、同じ数のカードが \(3\) 枚と
他の同じカードが \(2\) 枚である確率を求めてください。
(京都府立医科大)
【解答3】
ポーカーのフルハウスの確率に関する問題です。
\(40\) 枚から、\(5枚\) のカードをとる場合の数は、\({}_{40} \mathrm{ C }_5\)
題意のような取り方は、\({}_4 \mathrm{ C }_3・{}_4\mathrm{ C }_2・{}_{10} \mathrm{ P }_2\)
よって、求める確率は、 \(({}_4 \mathrm{ C }_3・{}_4\mathrm{ C }_2・{}_{10} \mathrm{ P }_2)/ {}_{40} \mathrm{ C }_5 =39/9139\)
【問題4】
\(S_n= \displaystyle \int_{-π}^{π}(\displaystyle \sum_{k=1}^n kcosx)^2dx\) とします。
(1)\(S_n\) の値を求めてください。
(2) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } S_n/n^3\) を求めてください。
(東京医科歯科大)
【解答4】
\(I(p,q)= \displaystyle \int_{-π}^{π}\displaystyle cospx・cosqxdx\) とおくと
ⅰ)\(p=q\) のとき、\(I(p,q)=π\)
ⅱ)\(p≠q\) のとき \(I(p,q)=0\)
よって、
(1)\(S_n=1/6・n(n+1)(2n+1)・π\)
(2) \( \displaystyle \lim_{ n \to \infty } S_n/n^3 =π/3\)
【問題5】
\(△ABCと△DEF\) において \(AB=DE\) とし、それぞれの外接円の半径と内接円の半径がともに
等しいとします。このとき、二つの三角形は合同になるかどうか、理由をつけて説明してください。
(京都大)
【解答5】
必ずしも、合同であるとは結論できません。それには、反例をあげれば十分です。
\(△ABC\) の内心を \(I\) とします。
\(CI\) の延長線と外接円 \(O\) との交点を \(M\) とすると、
\(∠MAI=∠MIA=1/2・(∠C+∠A)\) よって、\(MI=MA=MB\)
また、逆に弧 \(MC\) 上に \(MI=MA\) となる \(I\) をとれば、\(I\) は内心です。
半径 \(r\) の円 \(O\) に内接する正三角形を \(△NDE\) とし、\(劣弧DE\) の中点を \(F\) とします。
\(NFとDE\) の交点を \(H\) とし 線分 \(NF\) 上に \(NJ=ND\) のようにとれば、
\(J\) は\(△DEF\) の内心となります。
ここで、 \(F\) を中心とする半径 \(r\) の円を考えると
\(O,D,E\) を通り、\(OH=HF>HJ\) だから、円弧 \(DOE\) 上に \(HJ\) に等しい点 \(I\)
をとることができます。そこで、\(FI\) の延長と円 \(O\) との交点を \(I\) とすると、内心です。
さらに \(△ABCと△DEF\) は一辺を共有し、内接円、外接円が等しくなります。
そこで、三角形\(ABC\) として \(△DEC\) をとると題意の条件を満たしますが、明らかに
この二つの三角形は合同ではありません。
従って、問題の条件からでは、二つの三角形は必ずしも合同であると結論づけることはできません。