不定方定式(ディオファントス方程式)-合同式の応用-
不定方程式について
古代ギリシャの数学者ディオファントスについては、以前書いておきました。ディオファントスは「数論(アリトメティカ)13巻」に数についての知見を書き記しました。ディオファントスは、不定方程式と言われる1次式や2次式の整数解をどう解くかを詳しく研究しています。その研究は、フェルマーにつがれ、さらにはガウスによって整数論として体系化してゆきます。さらに素数論としてリーマンなどの研究につながってゆきます。ディオファントス-数論のはじまり-
合同式による整数方程式の解法
合同式は、整数の余りの計算法としてガウスによって考えられました。合同式を使うことによって、割合簡単に整数解を求めることができます。使いこなせるようにしておいて損はないと思います。
合同式の定義・性質
1)合同式の定義
\(a,b\)を正の整数とし、正の整数\(c\)で割ったときの余りが等しいとき、\(a\)と\(b\)は\(c\)を法として合同といい、
\(a≡b (mod c)\)
と書きます。これは、\(a-b\)が\(c\)で割り切れるときと同値です。
2)合同式の基本公式
\(a≡b (mod m),c≡d(mod m)\)ならば、
a) \(a+c≡b+d、a-c≡b-d (mod m)\)
b)\(ac≡bd(mod m)\)
c) \(a^n≡b^n (mod m)\) \(n\)は自然数
不定方程式の合同式による解法
不定方程式(整数方程式)は、通常は、特殊解を1つ求め、未知数が整数であることを利用して解くのが普通の方法です。特殊解を求めるとき、ユークリッドの互除法を使うのが、受験数学の方法です。数Ⅰの整数の問題として、よく出題されています。(センター試験など)これを合同式を使う方法をとれば、簡単に求めることができます。整数の問題は、合同式を使いこなせるようにすべきだと思います。
【例題1】
\(13x+17y=193・・・・・・・・・・①\)の整数解を求めてください。
【解答1】
①の不定方程式は、\(17y≡193 (mod 13)\) と同値です。[\(13x≡193 (mod 17)\)でも同等です。]
これは、\(4y≡11≡24 (mod 13)\)です。
\(4\)と\(13\)は互いに素ですから、\(y≡6 (mod13)\)となります。
よって、\(y=6+13k (k=0,±1,±2,・・・・・・・・)\)
①から、\(x=7-17k\) 従って
\((x,y)=(7-17k,6+13k)\)となります。\((k=0,±1,±2,・・・・・・・・・・)\)
(注)合同式で割り算をするときは、同値性に十分注意してください。
【別解1】関連する整数解の問題がこのリンクにあります。整数解の問題-整数方程式の解き方-
①を普通の方法で解くと次のようになります。
①の特殊解を1つ求めます。直感で、\((x,y)=(4,-3)\)が求まれば、これで、一般解はすぐに求まります。
特殊解が求まらないときは、ユークリッドの互助法で求めます。
\(17=13x1+4, 13=4x3+1\) この2式から、\(13=(17-13x1)x3+1\)
よって、\(13x4-3x17=1\)この両辺に193を掛けると、
\(772x13-579x17=193\)・・・・・・・②
①-②から、\(13(x-772)=17(y+579)\)・・・・・・・・・③
これから、\(13と17\)は互いに素ですから、\((x,y)=(772+17t,-579+13t)、tは整数\)です。
③をよく考えると、\(13,17\)は互いに素ですから、\(x≡772≡7 (mod17)\)です。
よって、\(x=7+17t\)となり、\(y=6-13t\)です。ここで\(t=-k\)とおきかえれば、【解答1】と
同じになります。