リーマン積分とディリクレー関数 -ルベーグ積分の登場-
通常学ぶ積分法
高校や、大学教養課程で学ぶ積分法(定積分)は、リーマン積分です。一般的に区分求積法で求められる積分法です。高校では、区間をn等分して、その矩形の和を求め、極限値を求める事によります。ところが、リーマン積分では、積分できない関数があるのです。ディリクレー関数がその一例です。ディリクレー関数は次のように定義される関数です。
f(x)=1(xが有理数の時)
f(x)=0(xが無理数の時)
ディリクレー関数は、リーマン積分できません。なぜなら、Σf(ξk)Δxk=Snを考える時に、ξを有理数にとれば、Snは区間の長さになり、ξを無理数にすれば、Sn=0となります。従って、lim(n→∞)Snが存在しません。従ってディリクレー関数は、リーマン積分できないことになります。
リーマン積分できないものも積分できる方法-ルベーグ積分-
ディリクレー関数のようなものは、リーマン積分はできませんが、このような関数も積分可能にするものが、ルベーグ積分です。ルベーグ積分は、数学の専門課程で学ぶ分野です。ルベーグ積分を考える時には、測度を定義する必要があります。数直線上で連続な点の集合は、区間で長さを持っています。そして、長さは、両端の数の差になっています。この区間は、隙間がなく連続ですが、区間の長さに隙間がある場合に拡張したものが測度の概念です。
ルベーグ積分の定義
[a,b] で定義されたy=f(x)のルベーグ積分を次のように定義します。x∈[a,b]に対するf(x)の下限をα、上限をβとします。[α,β] をn等分し、α=y0<y1<・・・<・・・・・・<yn=β とします。また、n-1個の半開区間 [y0,y1),・・・・[yn-1,yn) と閉区間 [yn-1,yn]を、J1,J2,・・・・・・・,Jn とします。f(x)がJkに属するようなxの集合をEk(k=1,2,3,・・・・・・)とし、Ekは可測とします。
Sn=Σ(k=1,n)yk-1μ(Ek) を求め、n→∞を求め,Max(yk-yk-1)→0としたときの極限値をルベーグ積分を定義します。
リーマン積分が、独立変数xを区分するのに対し、ルベーグ積分は、従属変数yを区分するともいえます。興味がある人は、大学で勉強してください。