ユークリッドの原論-原論の公理-
ユークリッドの原論
ユークリッドは、紀元前300年ごろに、ギリシャで活躍した数学者です。ユークリッドは、現在の平面幾何学の体系をほぼ完全に構成していますし、数論についても、様々な結果を得ています。ユークリッドは、自ら得られた結果を、原論と言う書物にまとめました。とても密度の濃い論文だともいえます。
後年、17世紀にニュートンが、微分積分学、万有引力についての論文を書きました。「自然哲学の数学的原理」です。これは、ニュートンがユークリッドの原論を参考にして、論理構成したといわれています。
ユークリッドは、アテネでプラトンに師事し、その後そこで、数学の教師をやっていたとも言われています。これは、ユークリッドの経歴等が余りよく分かっていないからです。
ユークリッドは実在の人物だったのでしょうか。架空の次物だったのでしょうか。でも間違いなく原論を書いた数学者(グループ)が居たことは事実です。
ユークリッドの原論の公理
ユークリッドの原論は、1巻から6巻までが、平行線の公理から、三角形の内角の和に関する定理、円の性質、第7巻から、10巻までが、素数や無理数、約数・倍数について書かれています。第11巻から、13巻までは、立体幾何について書かれています。
2000年も前に、素数が無限にある事や、\(\sqrt{2}\)などが無理数である事が証明されていたのは驚異だと思います。
ユークリッドの公理は、現代数学では発展的に修正されているものもありますが、平面幾何に関して言えば、いまだに公理として成り立っています。
ユークリッドの原論の公理
(1)\(a=b、b=cならば、a=c\)
(2)\(a=bならば、a+c=b+c\)
(3)\(a=bならば、a-c=b-c\)
(4)互いに重なり合うものは、互いに等しい
(5)全体は部分より大きい
(6)異なる2点を結ぶ直線は、ただ1本引くことができる。
(7)線分は、これを両方へ望むだけ延長することができる。
(8)任意の1点から等距離にある点の集まりは円である。
(9)直角はすべて相等しい
(10)平行な直線は決して交わらない(平行線の公理)
以上が、ユークリッドの原論の公理です。
このうち、数学者は第10公理を、証明しようと懸命な努力をしていますが、18世紀になって、第10公準(公理)を否定しても、無矛盾な幾何学が構成できることが、ガウス、リーマン、ロバチェフスキー、ボヤイによって空間幾何で発見されています。これを、非ユークリッド幾何学といいます。
リーマン幾何学は、球面上の幾何学で、後に相対性理論の数式化に使われています。