ペアノ曲線-奇妙な曲線-

ペアノという数学者

19世紀後半のイタリアの著名な数学者にペアノがいます。ペアノは、自然数に関するペアノの公理系の提唱でも有名ですが、ある平面図形(正方形)内に、重複点が無数にあることも許されるとして、1つの正方形内の内部の点をすべて漏れなく通過する曲線の実例を作って、当時の数学会を驚かせました。このペアノ曲線をみると、とても頭のいい人が考えた曲線のように思えます。

ペアノ曲線とは

ペアノ曲線がどういうものなのか、考えて見ましょう。
最初に、曲線とはどういうものかと言うことからはじめましょう。
区間\(a≦t≦b\)で、\(φ(t),ψ(t)\)が連続であるとき、
\((C):x=φ(t),y=ψ(t)  \)
となる点\(P(x,y)\)の集合として、1つの平面曲線\(C\)を通常定義します。
この定義から、曲線を定義すると、1つの曲線である面積が塗りつぶされるような曲線が存在します。その一つが、ペアノ曲線です。このようなものを曲線とするのを除きたいとするなら、上の平面曲線の定義を変更するしかありません。
さて、ペアノ曲線ですが、次のようにして作ることができます。
一つの線分\(T\)と、一つの直角二等辺三角形\(Δ\)を考えます。パラメーター\(t\)が\(T\)上を動くとするとき、曲線\(C\)が\(Δ\)を塗りつぶすようにします。
線分\(T\)を\(T_0,T_1\)に2等分し、\(Δ\)の直角の頂点から斜辺に垂線を引き、\(Δ\)を\(Δ_0,Δ_1\)に2等分し、\(T_0,T_1\)に対応させます。
次に、\(T_0,T_1\)を2等分し、それぞれ\(T_{00},T_{01}\)および\(T_{10},T_{11}\)とし、さらに\(Δ_0,Δ_1\)を上と同様に2等分し、\(Δ_{00}、Δ_{01}\)および\(Δ_{10},Δ_{11}\)とし、\(T_{00},T_{01},T_{10},T_{11}\)に対応させます。
このような手順を続けると線分\(T_abc・・・・l\)は、記号\((a,b,c,・・・・・・・・・,l)\)を2進数\(0.abc・・・・・・・l\)とみるとき、大きさの順に並び、相接する線分には一辺で接する三角形が対応することになります。
区間\(0≦t≦1\)に対して、変数\(t\)を、2進法で\(t=0.c_1c_2・・・・・c_n・・・・・\)・・・・・・・①と書くと、
\(Δ_{c_1} \supset Δ_{c_1c_2}\supset ・・・・・・・・\supset Δ_{c_1c_2・・・・・・c_n}\supset ・・・・・・・・\)
となり、これらは1点\(P\)に収束します。
3角形\(Δ\)の平面で、座標系を定めて、\(P(x,y)\)とすると、\(t\)の関数として
\(x=φ(t)、y=ψ(t)\) が確定します。
このようにして定義された関数\(φ(t),ψ(t)\)は定義から、連続です。三角形\(Δ\)の各点\(P\)は、区間\([0,1]\)の\(t\)の値①に対応します。またこのような点\(P\)が3角形\(Δ\)の変および各分割線上に稠密に分布することになります。

 

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