ベクトルに関する精選問題-解答編-
ベクトル
ベクトル精選問題の解答を書いておきます。問題のリンクは次です。ベクトル精選問題
ベクトルに関する精選問題の解答
【問題1】
\(rは0<r<1\)を満たす実数とします。\(xyz\)空間に\(O(0,0,0)、A(1,0,0)、B(0,1,0)\)をとります。
(1)\(xyz\)空間の点Pが、\(l\overrightarrow{PA}l\)=\(l\overrightarrow{PB }l=r・l\overrightarrow{PO }l\)を満たすものが存在する範囲を求めてください。
(2)点Pが(1)の条件を満たして動くとき、内積 \(\vec{PA} \cdot \vec{PB}\) の最大値、最小値を、\(M(r),m(r)\) とします。このとき、
\(\lim_{ r \to 1-0 }(1-r^2)・(M(r)-m(r))\) を求めてください。(東大)
【解答1】
(1)\(P(x,y,z)\)とすると、
\(\overrightarrow{PA}=\overrightarrow{OA}-\overrightarrow{OP}=
(1-x,-y,-z)\)、\(\overrightarrow{PB}=\overrightarrow{OB}-
\overrightarrow{OP}=(-x,1-y,-z)\)、\(\overrightarrow{PO}=
-\overrightarrow{OP}=(-x,-y,-z)\)となります。
ここで、条件より
\((1-x)^2+y^2+z^2=r^2・(x^2+y^2+z^2) (0<r<1)\)
これより、\(y=x、・・・・・・①\) またこれを用いて
\(z^2=(-2(1-r^2)x^2+2x-1)/(1-r^2)\)・・・・・②
よって、\(1-r^2>0\)ですから、②から、\(z^2≧0\)から、
\(-2(1-r^2)x^2+2x-1≧0すなわち、2(1-r^2)x^2-2x+1≦0\)
を満たす実数xが存在することが、必要十分条件です。
\(2(1-r^2)x^2-2x+1=0・・・・・・・③\)
③の判別式をDとすると、\(D/4=2r^2-1≧0\)です。
よって、\(0<r<1 も考慮して、1/\sqrt{2}≦r<1\) となります。
(2) \(\vec{PA} \cdot \vec{PB}=x(1-x)+x(1+x)+z^2
=2r^2/(1-r^2)・x-1/(1-r^2)=f(x)\)・・・・・・・④
③の解をα、β(α≦β)とすると、解と係数の関係より、
\(α+β=1/(1-r^2), αβ=1/2(1-r^2)\)・・・・・・⑤
ここで、④から、 \(\vec{PA} \cdot \vec{PB}\)は、xに関して、傾きが
正の直線ですから、
\(M(r)-m(r)=f(β)-f(α)=2r^2(β-α)/(1-r^2)\)・・・・・・⑥となります。
よって、⑤を用いて、
\((β-α)^2=(α+β)^2-2αβ=(2r^2-1)/(1-r^2)^2\)より、
\(β-α=\sqrt{2r^2-1}/(1-r^2)\)
従って、⑥から、
\(\lim_{ r \to 1-0 }(1-r^2)(M(r)-m(r))
=\lim_{ r \to 1-0 }(2r^2\sqrt{2r^2-1})/(1+r^2)
=1/2\) ・・・・・・・(答)
【問題2】
\(xyz\)平面において、xy平面上に原点を中心とする半径2の円Cがあるとします。点(0,1,0)をとおり、ベクトル(1,1,-2)に平行な直線を l とします。
l 上の動点Pから最短距離にあるC上の点をQとします。Pがl全体を動くときの、点Qの動く範囲を求めてください。(大阪大)
【解答2】
\(C上の点をR\)とすると、\(R(2cosθ,2sinθ,0) (0≦θ<2π)\) とおけます。直線 l は、\((0,1,0)を通り、\vec{d}=(1,1、-2)\)の方向ベクトルですから、
直線 l は、\(x/1=y-1/1=z/(-2)\)
よって、\(l上の点Pは、P(t,t+1、-2t)\)とあらわせます。
\(P(t,t+1,-2t)のt\)を固定して、円周上の\(R(2cosθ,2sinθ,0) を (0≦θ<2π)\)でうごかします。
\(PR^2=6t^2+2t+5-4{t・cosθ+(1+t)sinθ}\)
ここで、\(6t^2+2t+5\)は定数だから、\(PR^2は、t・cosθ+(1+t)sinθ・・・・・①が最大のとき、
最小になります。\)
\(\vec{α}=(t,t+1)、\vec{β}=(cosθ、sinθ\) とすれば、\(\vec{α}、\vec{β}\)が平行のとき
最大値\(\sqrt{t^2+(t+1)^2}\)をとります。
\(xy平面上のH(t,t+1)\)は、\(y=x+1\)の上の点です。
この直線上に、Hが拘束されると、\(\vec{α}=(t,t+1)\) が定まって、このベクトルは、
これと平行な単位ベクトルと平行なときに最大となります。
このとき、\(点R\)は、\(Q(2cosθ、2sinθ、0)\)とすれば良いことになります。
次に、\(t\)を変数として、\(-∞<t<∞\)で動かすと、\(xy平面上\)で、\(y=x+1\)を動き
\(\overrightarrow{OH}\)と同じ向きの\(\overrightarrow{OQ}\)の終点Qが、円C上にきまります。
よって、求めるQの範囲は、\(xy\)平面上で、\(円Cのy>x\)の上部になります。
【問題3】
\(xyz\)平面上の正8面体の頂点を、\(P_1,P_2、・・・・・・・、P_6\)とベクトル
\(\vec{ v }\)に対して、\(k≠m\)のとき、\(\vec{PM } \cdot \vec{ v }\)≠0
が成り立っているとします。
このとき、kと異なるすべてのmに対し、\(\vec{PM } \cdot \vec{ v }\)<0が成り立つような\(P_k\)が存在することを証明してください。
(京大)
【解答3】
正8面体をVとします。\(\vec{ v }に垂直な平面をα\)とします。
このとき、\(\vec{ v }の始点をα上\)にとります。
αを遠方にとると、\(\vec{ v }の終点がα\)に対して、反対にできます。
この状態から、αをVに接触するまで近ずけるとすると、αとVは接触して
いません。もし接触するとすれば、辺\(P_iP_jがα\)上にあり、
\(\vec{P_iP_j } \cdot \vec{ v }=0\)となり条件に反します。
従って、kと異なるすべてのmに対して\(\overrightarrow{PM }\) と、\(\vec{ v }\)の成す角は\(90°\)よりおおきいですから、
\(\vec{PM } \cdot \vec{ v }<0\) となります。
【問題4】
4面体OABCにおいて、\(OA=OB=2、OC=1、∠AOB=∠BOC=∠COA=60°\)とします。
辺OA上に、点Pを、\(\overrightarrow{OP}=x・\overrightarrow{OA }\)
となるようにとり、三角形OBCの内部に点Qをとり、内積 \(\vec{PQ } \cdot \vec{ OB}=0、\vec{PQ } \cdot \vec{OC }=0\) となるようにとります。
\(xが0<x<1\)の範囲を動くとき、4面体BCPQの体積の最大値とその最大値を与えるxの値を求めてください。
(福島県立医科大改)
【解答4】
\(\overrightarrow{OQ}=s\overrightarrow{OB}+t\overrightarrow{OC}\)とおくと、
\(\overrightarrow{PQ}\cdot\overrightarrow{OB}=0,\overrightarrow{PQ}\cdot\overrightarrow{OC}=0\)
となります。従って、
\(4s+t=2x\)・・・・・・・・①
\(s+t=x\)・・・・・・・・②
これより、\(s=1/3、t=2/3\)から、\(\overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OQ}=x・(1/3・\overrightarrow{OB}+2/3・\overrightarrow{OC})\)・・・・・・・・③
\(\overrightarrow{PQ}⊥△ABC\)
よって、4面体\(BCPQは、底面が△BCQ高さPQ\)の3角錐です。
\(1/3・\overrightarrow{OB}+2/3・\overrightarrow{OC}=\overrightarrow{OD}\)とおくと
直角三角形OCDで考えると、OC=1ですから、Qから、BCへの垂線長さは、\(1-x\)
よって、\(△BCQ=1/2・\sqrt{3}(1-x)\)
また、\((l\overrightarrow{PQ}l)^2=24/9・x^2\)
よって高さ\(h=PQ=2\sqrt{3}/3・x\)
よって、\(V=1/3・Sh=\sqrt{2}/3・x(1-x)\)=\(\sqrt{3}/2・(-(x-1/2)^2+1/4)\)
\((0<x<1)\) より、
\(x=1/2のとき、体積は、最大値\sqrt{2}/12\)をとります。