ピタゴラスの定理について
よく知られたピタゴラスの定理
ピタゴラスの定理は、中学三年の数学で学ぶものですが、その証明が出来るかどうかは別として、とてもよく知られた定理です。直角三角形において、斜辺の長さの二乗は、他の二辺の長さの二乗の和に等しい、と言うものです。この定理はギリシャ時代の有名な数学者であるピタゴラスが発見したものです。エーゲ海のサモス島でうまれたと言われています。紀元前500年ごろの話です。ピタゴラスを中心とする学派は、ピタゴラス教団のような活動もしていたと言われています。ピタゴラス学派の業績は多岐に渡っています。以下のようなことを示しています。
1.三角数 \(1+2+3+・・・・・・・・・n=n(n+1)/2\)
2.完全数 \(6=1+2+3\) 約数の和がそれ自身になる数
3.親和数 \(284、220\) などの組 約数の和が互いに他の数になる
4.ピタゴラスの定理、ピタゴラス数
5.等差数列、等比数列、調和数列
6.無理数
7.黄金分割比
8.正五角形の作図
9.正多面体 5種類しかないことを示した
ピタゴラス数について
ピタゴラスの定理は、直角三角形の辺の長さに関する定理ですが、ピタゴラスの定理を満たす数を自然数と考えるとき、これをピタゴラス数と言います。
つまり、 \(a,b,c\) を自然数とするとき、\(a^2+b^2=c^2\) ・・・・・・・・① を満たす自然数をピタゴラス数と言います。
例えば、\((a,b,c)=(3,4,5)\) などは有名です。では、このようなピタゴラス数について考えてみましょう。
1)①式を満たす自然数は、どれか1つは3の倍数である。
(証明)これは割合簡単です。一般に、自然数 \(n\) に対して \(n^2≡0、1(mod3)\) すなわち \(3\) で割った余りは \(0か1\)
ここで、①を満たす自然数がすべて、\(3\) の倍数ではないとします。このとき、\(mod3\) で、\(a、b、c≡1、2\)
よって、\(a^2、b^2、c^2≡1\) となりますから、① の両辺を \(3\) でわった余りを考えると、左辺は2、右辺は1です。
したがって矛盾をきたし、題意は成り立ちます。
2)ピタゴラス数を求めるには
ピタゴラス数は、無限に存在します。これを一般式として求めてみましょう。
ピタゴラス数は、①式を満たす自然数解を求めることと同値です。実はこれは、①式を変形すると
\((a/c)^2+(b/c)^2=1\) ですから、\(x=a/c、y=b/c\) と置けば \(x^2+y^2=1\) ・・・・・・・② \(p,q=有理数\) です。
つまり、②式の有理数解を求めればよいことになります。
②を \(xy\) 座標平面上で考えます。② は、半径 \(1\) の単位円です。まず、② は 明確な有理点 \((0,-1)\) を持ちます。
そこで、この有利点を通る直線 \(y=tx-1\) を考え、② との交点を求めます。
\(x=2t/(t^2+1)、y=(t^2-1)/(t^2+1)\) 有理点を考えていますから、\(t=q/p\) \(p,q:整数、p≠0\)
これから、\(x=2pq/(p^2+q^2)、y=(q^2-p^2)/(q^2+1)\)
これを代入して整理すると、
\((2pq)^2+(q^2-p^2)^2=(p^2+q^2)^2\)
となります。
すなわち、\(a=2pq、b=q^2-p^2、c=p^2+q^2\)・・・・・・③ で a,b,cは自然数 だから \(q>p>0\)
③式で任意のピタゴラス数が求まることになります。