ノーベル物理学賞受賞記念-難関校入試問題・解答編PartⅠ-
難関大・東大の問題の解答PartⅠ
難関大が実力をためす問題を出題してきました。旧課程の入試問題ですが、さすがに解きにくい問題ぞろいです。おそらく受験生も苦戦したのではないかと思います。
問題等は次のリンクです。ノーベル物理学賞受賞記念・難関大入試問題
難関校入試問題解答
【問題1】 実数\(a,b\)に対し、\(x_0,y_0)=(1,0)\)、平面上の点\(P_n(x_n,y_n)を,(x_{n+1},y_{n+1})=(ax_n-by_n,bx_n+ay_n)、(n=1,2,3・・・・・・・)\)によって定めます。このとき次の(1)(2)がともに成り立つような\((a,b)\)を全て求めてください。 (1)\(P_0=P_6\)、 (2)\(P_0,P_1,P_2,P_3,P_4,P_5\)は相異なる
【解答1】 旧課程の問題です。1次変換の回転の行列を使うのでしょうが,新課程のいまは、特に考慮しなくてもいいでしょう。群論の考え方をしますが、こちらの面では重要です。
\(\begin{pmatrix} a & -b \\ b & a\end{pmatrix}\)において、条件式から、\(P_n(x_n,y_n)をA=r\begin{pmatrix} cosθ & -sinθ \\ sinθ & cosθ\end{pmatrix}\)の回転行列で回転すると、\(x_{n+1},y_{n+1})\)となります。
ここで、\(ab≠0\)で、\(r=\sqrt{a^2+b^2}\)で、\(cosθ=a/r、sinθ=b/r\)
よって、\(A^nは、nθの回転とr^n\)の拡大写像となります。
条件から,\(P_6=P_0\)ですから、\(r^6=1、6θ=2mπ\)より、\(r=1、θ=mπ/3\) これより、求める点は、\((1/2、±\sqrt{3}/2)\)
【問題2】 \(a\)を実数として、\(x>0\)で定義された関数\(f(x),g(x)\)を定義します。 \(f(x)=cosx/x,g(x)=sinx+ax\) このとき、\(y=f(x)とy=g(x)\)が\(x>0\)の範囲で共有点を3つ持つような\(a\)を全て求めてください。
【解答2】 \(X>0ですから、x≠0\)で、このとき原式は、\((cosx-xsinx)/x^2=a\)・・・・・・① となります。従って、①が相異なる3つの実数解を持てば大事になります。 \(h(x)=(cosx-xsinx)/x^2\)とおくと、\(h’(x)=-cosx・(x^2+2)/x^3\) \(h'(x)\)の符号を考え、\(x>\)での極値がどうなるか考えればいい事になります。 \(h(x)\)は、\(x=(2n+1/2)πで、極小値-2/(4n+1)π\)、\(x=(2n+3/2)πで、極大値-2/(4n+3)π\) をとります。また、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } h(x)=∞\) となりますから、求める\(aは、a=-2/5π、2/7π<a<2/3π\) です。
【問題3】 \(A,B\)の2人がいるとします。投げた表裏の出る確率がそれぞれ、\(1/2\)のコインが1枚あり、最初は\(A\)がコインを持っているとします。今
(a)\(A\)がコインを持っているときは、コインを投げ、表がでれば\(A\)に 1点をを与え、コインは\(A\)がそのまま持つものとします。裏が出れば、 両者に点が与えられず、コインは、\(AからB\)に渡すものとします。
(b)\(B\)がコインを持っているときは、表がでれば\(B\)に1点を与え コインは\(B\)が持つものとします。
(1)\(A,B\)あわせてちょうど\(n\)コインを投げ終えたときに、\(A\)が勝利に なる確率\(p(n)\)を求めてください。
(2) \(\displaystyle \sum_{n= 1 }^{∞} p_n\)を求めてください。
【解答3】 (1)\(n\)が偶数か奇数かで\(A\)が勝つ場合を考えて、 ①\(n\)が偶数のとき、\(n=2m\)とおくと、\(p(2m)=m/2^{2m+1}=n/2^{n+1}\) ②\(n\)が奇数のとき、\(n=2m+1\)とおくと、\(p(2m+1)={}_n \mathrm{ C }_2x2/2^{2m+1}=(n-1)(n-3)/2^{n+2} n=1も含む。\) (2)\(S_m=\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{m} p(n)\)とします。 \(m\)が奇数のとき、\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{m} p(n)-k(k+1)/3・2^{2m+1}=T\)とおくと 上記より、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }T=16/9\)から、\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{m} p(n)=16/27\)、\(m\)が偶数のときもこれと等しくなりますから、答えは,\(16/27\)