シュワルツの不等式-有名な不等式-


不等式に関する問題

方程式を学んだ後には、不等式を学びます。不等式の中には、公式となっているものが多々あります。代表的なものは、平方になるものや、相乗・相加平均の関係式や、ここで取り上げたシュワルツの不等式があります。

平方となるものとしては、例えば、(a±b)^2≧0があります。平方完成して、この式を使う方法があります。\(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca≧0\)です。\(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca\)=1/2\((a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2)\)≧0となるからです。相乗・相加平均の関係は、a>0,b>0なら(a+b)/2≧√ab となります。等号は、a=bのときに成り立ちます。これらは基本事項ですので、十分な理解が必要だと思われます。

シュワルツの不等式(コーシー・シュワルツの不等式)

シュワルツの不等式でもっとも簡単なのは、2変数のもので、これは、 \((a^2+b^2)(x^2+y^2)≧(ax+by)^2\) と言う不等式です。これらの不等式は、一般化することができて、

(\(a1^2+a2^2+・・・・・・+an^2)(b1^2+b2^2+・・・・・・+bn^2)\)

≧\((a1b1+a2b2+・・・・・・・・anbn)^2\) が成り立ちます。

これをシュワルツの不等式といいます。

シュワルツの不等式の証明

色々な証明のやり方があると思いますが、ここでは、2次方程式の理論を使って証明してみます。

xに関する2次方程式Σ\((ai・x-bi)^2\)=0・・・・・・① を考えて見ます。ここで、i=1~n です。①の2次方程式の左辺は≧0ですから、①の解は高々1つです。①を変形すると\((Σai^2)x^2-2Σaibi+(Σbi^2)=0\)となります。従って、この判別式をDとすると、D/4=\((Σaibi)^2-(Σai^2)(Σbi^2)\)≦0となります。従って、上のシュワルツの不等式が成り立つことになります。等号成立条件は、ai・x-bi=0(i=1,2、・・・n)ですから、a1:a2:・・・・・・・:an=b1:b2:・・・・・:bnです。

シュワルツの不等式の別証明

n次元のベクトルとし、=(a1、a2、・・・・、an)=(b1、・・bn)と成分表示すれば、a、bベクトルのn次元の成す角をθとすれば、3次元同様の内積考える事が出来ます。

a・b=abcosθ ですから、この両辺を2乗し、0≦cos^2θ≦1を考慮すれば、\((Σaibi)^2≦(Σai)^2(Σbi)^2\)が示せる事になります。

また、ラグランジュの恒等式を使ってもシュワルツの不等式は容易に証明することが出来ます。

不等式に関する問題

【問題】

a、b、c、x、y、z、pが実数で、下記の関係が成り立つとします。

a^2-b^2-c^2>0

ax+by+cz=p

ap<0、x>0

この関係式が成り立つ時、x^2-y^2-z^2 の符号を調べてください。

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