オイラーの公式-関数の複素級数展開-
関数の級数展開
すでに説明しましたが、実数関数の指数関数\(e^x\)は、マクローリン展開により、
\(e^x=1+x/1!+x^2/2!+x^3/3!+・・・・・・+x^n/n!+・・・・・・・\)・・・・(1)
上式は、任意の実数xに関して収束することが証明できます。
関数の複素級数展開
ここで、(1)の右辺のxの代わりに、複素数zに関する無限級数を考えます。つまり、
\(1+z/1!+z^2/2!+・・・・・・+z^n/n!+・・・・・・\) ・・・・・・・・(2)
を考えます。
\(z=r(cosθ+isinθ)\)とすると、ド・モアブルの定理から\(z^n=r^n(cosnθ+isinnθ)\)
ですから、
\(Sn=\displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } z^n/n!\)
=\(\displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } r^k/k!・coskθ+\displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } ir^k/k!・sinkθ\)となります。
l\( \displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } r^k/k!・coskθ\) l≦\(\displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } r^k/k!・lcoskθl\)≦\(\displaystyle \sum_{ k = 0 }^{ n } r^k/k!\)・・・・・・・(3) となります。
(3)の右辺の級数は、n→∞で収束しますから、Snの実数部分は収束します。
同様に、Snの虚数部も収束します。従って、(2)の複素級数は収束することが分かります。これを、\(e^z\)と書きます。
つまり、\(e^z=1+z/1!+z^2/2!+・・・・・+z^n/n!+・・・・・・\)となります。
これは、指数関数を複素数まで拡張したもので、加法定理も成り立ちます。
また、\(z=x+iyなら、e^z=e^{x+iy}\) となり、
\(e^{iy}=1+yi/1-(yi)^2/2!+・・・・・・・+(-1)^k・y^{2k}/(2k)!+(-1)^k・y^{2k+1}i/(2k+1)!+・・・・・=cosy+i・siny\) ですから、
\(e^{x+iy}=e^x(cosy+i・siny)\) となります。
これから、\(cosy=(e^{iy}+e^{-iy})/2、siny=(e^{iy}-e^{-iy})/2\)
となります。
これをオイラーの公式といいます。