3次方程式の解の公式-複雑な式ですが4次まであります-
代数方程式の解の公式
1次方程式、2次方程式は、中学や高校でも学びます。2次方程式では解の公式があるのはご承知の通りです。\(ax^2+bx+c=0\) (a≠0) の解は、 \(x=(-b±\sqrt{b^2-4ac})/2a\) となるわけです。ここで、\(D=b^2-4ac\)の正負または0によって相異なる実数解、複素数解、重解(実数)をもちますので、Dは判別式といわれるのは、基本的です。2次方程式の解が見つかって以来、3次方程式、4次方程式の解の公式がみつかっています。3次方程式はカルダノの方法、4次方程式は、フェラーリの方法と言われています。3次方程式、4次方程式は、地道にやれば十分理解できるものですが、解が極めて複雑になるために、高校ではやりません。5次以上の方程式に一般の解の公式が存在しないのを証明したのは、ガロワとアーベルですが、ガロワ理論等にからめて、3次、4次方程式の解の公式は大学でやるようです。
3次方程式の解の公式
3次方程式は、a≠0として、\(ax^3+bx^2+cx+d=0\)・・・・・① であらわされます。①は有理変換により、\(x^3+3ax+2b=0\)・・・・・・② になる事は容易に分かります。\(x^3+y^3=a\)が 楕円曲線\(y^2=x^3+ax+b\) と双有理同値であることと同じ論理です。 ②を実際に解いて見ましょう。ここで、x=u+vとおき、②に代入すると、\(x^3+3ax+2b=(u+v)^3+3a(u+v)+2b\)=\(u^3+3(a+uv)+v^3+2b=0\)・・・・③ となりますから、③を解けばいいことになります。これが成り立つには、\(u^3+v^3+2b=0\)、\((a+uv)(u+v)=0\) が十分条件になります。(解の公式を求めるには、3次方程式は3つの解を持つことが証明されているので、この方法で十分だと言えます.u+v≠0より、
\(u^3+v^3=-2b\)、\(u^3v^3=-a^3\) となります。これより、\(u^3、v^3\)は、\(t^2+2bt-a^3=0\)の解となります。これを2次方程式で解くと、\(u^3=-b+\sqrt{b^2+a^3}\)、\(v^3=-b-\sqrt{b^2+a^3}\)となります。
ここで、\(z^3=1\)の解は、\(1、ω、ω^2\) ですから、\(u1=(\sqrt[ 3 ]{-b+\sqrt{b^2+a^3}})\)、\(u2=ω(\sqrt[ 3 ]{-b+\sqrt{b^2+a^3}})\)、\(u3=ω^2(\sqrt[ 3 ]{-b+\sqrt{b^2+a^3}})\) となります。同様にして、\(v1=(\sqrt[ 3 ]{-b-\sqrt{b^2+a^3}})\)、\(v2=ω(\sqrt[ 3 ]{-b-\sqrt{b^2+a^3}})\)、\(V3=ω^2(\sqrt[ 3 ]{-b-\sqrt{b^2+a^3}})\)となります。このなかで、\(uv=-a\) を満たすものは、\(x=u1+v1、u2+v3、u3+v2\) となりますから、これから、①から②に行った双有理変換の逆変換をすれば、求める3次方程式の一般解がもとまり、これが解の公式ということになります。
5次以上の代数方程式の解の公式
5次方程式以上では、一般的な解の公式は存在しません。これを証明したのが、ガロワとアーベルです。また5次方程式の解の公式が存在する必要十分条件を求めたのがガロワであり、いわゆるガロワの群論で知られているガロワ理論です。