関数の級数展開 -2項定理、マクローリン展開-
関数の定義
\(x\)の定義域で定義されていて、その独立変数\(x\)に対して、従属変数\(y\)が決まる時に\(y\)は\(x\)の関数と言い、\(y=f(x)\) と書きます。これは、\(1\)変数関数の例ですが、独立変数 \((x、y)\)の組に対して、zの値が決まる場合は、2変数関数です。\(y=f(x-p)\) であらわされる関数は、\(y=f(x)\) を\(x\)軸方向に、\(p\)だけ平行移動した関数となります。このあたりは復習ですので大丈夫ですね。
2項定理について
2項定理は、\((a + b)^n\) を展開する時に利用するのは、よくご存知の通りです。例えば、\((a +b )^2 = a^2 +2ab +b^2\) 等です。一般式は、組合せ記号を使って、\( (a +b)^n=\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k a^{n-k}・b^k\) となります。各係数はパスカルの3角形でも作ることが出来ます。近似式の証明などによく使います。
級数展開について
関数は、定義域で微分可能であれば、級数で表すことが出来ます。\(x=a\)においては、テーラー展開、\(a=0\) の特別なときを、マクローリン展開といいます。これらの項目は、正式には大学の教養課程で学びますが、よくこのこのような級数展開を題材にした入試問題が出題されることがありますので、これを知っておいて損は無いと思います。
マクローリン展開は、ある関数 \(f(x)\) が微分可能である場合に、大雑把に書くと、次の式で表されます。正確には剰余項の評価をしなければなりませんが
\(f(x)=f(0) + f ‘(0)x/1 +f ”(0)x^2/2!+・・・・・+f (n)x^n/n!+・・・・・ \)となります。
これが、関数を理解する時に便利な式となります。
マクローリン展開の例
マクローリン展開の例としては、次のようなものが有名です。
\(e^x=1+x/1+x^2/2+・・・・・・・・・・\)
\(sinx=x-x^3/3!+x^5/5!- ・・・・・・・・\)
\(cosx=1-x^2/2!+x^4/4!- ・・・・・・・\)
これを利用すると、形式上ではありますが、
\(e^{iθ}\)=\(cosθ+isinθ\) と言う有名なオイラーの式がでてきます。議論が厳密ではありませんが、大学受験の理解としては、この形式がある事を覚えておけばいいと思います。また上の式にθ=πとすると、もっとも美しいとされる有名なオイラーの式が出てきます。この式が美しいかどうかは、個人の主観には寄りますが。。。。
\(e^{πi} + 1 =0\)
この式には、数学で基本的な数である、\(0、1、π、e、i\) が全て含まれています。\(e\)はオイラー定数(ネイピア定数)、\(i\)は虚数単位です。
数学の基本数がギッシリと詰まった美しい式だといわれています。私もそう思います。
マクローリン展開を使った問題例
【問題1】
1)\(e^x≧1+1/2x^2\) である事を証明してください。
2)自然数nに対して、\(f _n(x)=n^2(x-1)e^{-ax}\) とします。この時\(x≧0\)
における最大値を、\(M_n\)とします。\(\displaystyle \sum_{n = 1 }^{ ∞ } M_n\)を求めてください。
【問題2】
\(m\)を自然数とし、\(x>0\)とします。
1)\(log(1+x)>x-1/2x^2+・・・・・・・・・-(1/2m)・x^{2m}\) を示してください。
2)\(log(1+x)<x-1/2x^2+・・・・・・・+(1/2m+1)・x^{2m+1}\)を示してください。
3)\(log1.1\) の値を小数点以下3桁まで求めてください。
(注:\(log\) は自然対数です。)